2017年11月01日

第5回RDI実践報告会・報告

今回のテーマは、「マインドセット」

関わる側の人がどういった心構えをもってお互いに成長できるかを考える講座、実践報告と参加者で一緒に考えるグループワークが行われました。

RDI認定コンサルタント池下沙祐里さんによる講座「“ガイドされた参加”のマインドセット」ではいきなり「“こころ”って身体のどこにあるの?」という哲学的な話で始まりましたが普段の生活の中から見てとれる“関わり”の中でどういった気持で接しているか、それがどういう形で表れるかなどわかりやすく説明されました。

また「成長促進型マインドセット」と「問題予防型マインドセット」の違いについて、「新しいチャレンジを試みつつ一緒に成長していくこと」と「現状の問題を回避するために予防線を張ってしまう」という2つのマインドセットについても講義が進められました。

講義後半では「マインドセット判定ゲーム」として参加者の方々が質問に答えて自分のマインドセットを振り返るということも行いました。それぞれの結果について評価をしていき自分がどういった心持ちで接しているか、どう表現しているかを考える良いきっかけにもなりました。

実践報告は2例。1つ目は今年からパンジーに通所されている知的障害と自閉症スペクトラム障害を持つ成人男性の

Kさんとの関わりの中で支援者のマインドセットにスポットを当てて報告がありました。

最初は支援者の緊張感が伝わりKさんも落ち着けず、支援者がフォローしようと指示を出してしまうことでさらに関係性が悪化してしまうという悪循環でした。まだ関係性が築けていないうちに指示を出してしまいKさんも受け入れられない状況です。

次に「同じ場所で一緒に過ごす」ということを目的に過ごし、その中で一緒にブロック遊びをしました。Kさんも少し落ち着いた様子で一緒の空間にいることが出来ていますが、ここでもまだ支援者が指示を出してしまっています。どうしても関わりを持とうと焦ってしまうようです。

最後はとにかく「指示を出さない」をテーマとして一緒に過ごします。すると支援者もKさんを意識しすぎることがなく自然に関われました。Kさんもさらに穏やかな表情が伺えます。

支援者も「最初は関わりが難しいと思っていてついついこちらの要求を伝えるために指示を出してしまっていた。心の持ち方を変えることで、その姿勢がKさんにも伝わり関係性が変化することで自分でも出来るんだと思えるようになった」と言っています。

2つ目の事例報告はきっずパンジーに通ってい自閉症のTくんと支援者の関わりです。

Tくんとバス停からパンジーに向かうまでの道のりでの関わりについてです。

Tくんは他の子ども達と一緒に歩きますが自分のペースで歩いたり急に走りだしてしまう事がありました。支援者のリードで一緒に歩く事を通して「ガイドされた参加関係」を作ることを目指します。

まずは他の子たちの後ろから支援者と一緒に歩きますがこちらも支援者が緊張しているのがビデオからも伝わってきます。会話もTくんがコントロールしています。と急に走り出してしまいました。

次はもう少し緊張感を持ち、しっかりと横についてゆっくりと歩く事を心がけて挑戦です。

まだお互いの距離感や信頼関係がかみ合っていないようですが、少しづつ一緒に歩く事が出来るようになってきました。

三度目にはお互い余裕が出て来ています。「一緒に歩いている」という感覚を持てて来てるのではないでしょうか。

最後にグループワーク「“マインドセットに”気づこう」です。

参加者で4つのグループを作り3つの事例で「その時どうするか?」「どう考えたから、そうしたか」「今後どうしようと思うか」をグループ内で話し合いました。

それぞれ親視点、支援者視点、自分視点といった3つの事例について話し合いました。

1つ目の親視点。「楽しみにしていたUSJに連れてきたが、子どもが待ち時間に耐えられずパニックに!!」

2つ目の支援者視点。「明日から偏食が多く、気分が乗らないと食事が進まない当事者の食事介助担当になった」

3つ目の自分視点。「恋人と些細なことから大げんかし、別れ話に発展してしまった」

それぞれ活発な意見があり、この中でも成長促進型と問題予防型の意見がたくさん出され大変盛り上がりました。みなさん日頃の生活の中で色々と挑戦していることが話され貴重な意見を聞けました。

 

今回テーマ「マインドセット」について、関わる側が変わることで状況が変わってくることが良く分かりました。その中で如何に「成長促進型マインドセット」を持てるかがこれからのチャレンジだと感じました。

レポート:北村 賢治